2005年7月17日 9:00~11:00
時間的に都合がなかなか付かなかったのですが、やっとFC solceuで“ワーク”ができました。
“ワーク”とはサッカーには全く関係なく、擬似体験で“人生”や“大切な何か”を学ぶのもです。FC solceuではできるだけ“ワーク”の時間をとり、子どもたちに“いろいろな体験”をしてほしいと思っています。
今回は6年生(5期生)を対象に実施しました。
今回のテーマは“命”でした。
子どもたちにはテーマは内緒にして実施しました。
子どもたちには“無人島への旅”としてふれパーに自転車で集合してもらいました。
ふれパーにて。
「おはようございます。今日はみんなと無人島へ旅に行きます。乗り物は飛行機です。僕が機長の高山です。よろしくお願いします。座席が二列なので、みんな二列になってください。」
何が始まるのかなと、子どもたちが自転車で二列に集合。
「隣の人が今日のペアです。仲良くしてくださ~い。」
子どもたちが、顔を見合して、何やら話をしています。
まずは、旅に出る前に家族にメッセージを書いてください。
娘のクレヨンを借りてきたので、それで各自がB5用紙に“一言”記入。
ゆうき 「いってくんで」
こうき 「いってきます」
としき 「さようなら」
よっちゃん 「さようなら」
ゆうや 「さようなら」
こうよう 「バイバイ」
まさと 「いってくる」
たいし 「いってきます」
けんご 「愛」
たかさん 「ありがとう」
あきと 「お元気で」
たいき 「行ってきます」
るいじ 「行ってきま~す(さようなら)」
しゅん 「いってきます」
てっぺい 「お元気で」
りきと 「さよなら」
てんた 「行ってくる」
しょうへい 「さよなら」
こうすけ 「いってきます」
かずき 「いってまいります」
とも 「いってきま~す~」
まさし 「今までありがとうございました」
なお 「ありがとう」
『う~ん・・旅に出る時に、そんなメッセージありかな?というのが多いな?』
みんなのメッセージを倉庫にガムテープで貼り付けた。
機長の出発の合図でフライト開始、子どもたちが1列になり、自転車でついて行きます。
ふれパーを出発してわずか5分ほどで太陽が丘の入り口広場に不時着。
「飛行機のエンジンの調子が悪いので、目的地ではない島に不時着しました。」
何がなんだか子どもたちの表情。
「今から説明することを良く聞いて行動してください。
① この島から飛行機で5分後に脱出します。
② 飛行機に乗れるのは、2人組のペアのうち1名のみです。
③ 飛行機に乗る1名を決めるのに、“じゃいけん”や“くじ”はダメです。
④ 5分を過ぎると、残った人は猛獣に食べられる可能性があります。」→“死”
ペアで話が始まりました。飛行機に乗る=助かる、島にのこる=死ぬ。という設定で子どもたちは、どうするのでしょうか。
生死を分ける選択には5分とかからなかった。
(残った人)
ゆうき
こうき
としき
よっちゃん
ゆうや
こうよう
まさと
たいし
けんご
たかさん
あきと
たいき
(飛行機の補修をするため、出発地点のふれパーへと出発)
ふれパーに戻り、どうやって飛行機に乗るメンバーを決めたかと聞いてみると・・
「残った人は自分から残ると言ってくれました。残った方がいいことがあるかもと言っていました。」と子どもが報告。帰ってきた人は倉庫のメッセージをはがす。残り半分のメッセージはまだ何も語りません。
『う~ん、したたかというか、何というか、良い評価を求めての判断とは・・・。これは手ごわいぞ。テーマがボケないように強気で攻めないと・・・。』
本当に子どもたちには勉強させてもらっています。
「飛行機の補修が完了しました。残した子どもを助けに行きます。でも完全に補修できていないので、助けられる子どもは6人です。行ってきます。君たちはここで待っていてください。」
(出発)
不時着した無人島に残された子どもの姿が見えてきた。普通に「あっ、コーチ来た!」
「助けに来ました。でも飛行機が完全に直っていないので6人しか助けられません。飛行機に乗って帰る人をさっきと同様に話し合いで決めてください。ただし、今回残る人は死ぬということなので、ここで解散してください。この後のワークもやきそばパーティーも参加できません。それと大事なことなんですが、セレマカップも登録しないので真剣に話し合ってください。このワークは非常に重要なので受け止めてください。」
1回目よりは真剣になって話し合って、5分後に残る人決定。
(残った人)
ゆうき
こうき
としき
よっちゃん
ゆうや
こうよう
(飛行機で6人を乗せて出発。少し子どもの雰囲気が重たい気がした。)
ふれパーに到着。
「○○帰って来よったー!」「△△帰って来よったー!」と、最初に帰って来ていた子どもの声。そして帰ってきた子どもはメッセージをはがす。
今回帰って来た子どもに一言。
「おいおい、お前たち~。本当に簡単に“死”を選択したけど、お前たちにとって“死”って簡単なものなのか?」
追い討ちをかけて
「あのな、今この瞬間から目が見えない、口がきけない、音が聞こえない、臭いを感じない、息ができない、家に帰れない、誰からも見えない、になったらどうする?」
間髪いれずに子どもの一言
「それ、死んでますやん!」
だから、それを真剣に考えてほしいねん!
「じゃあな、1回目の選択の時に23人が道路に寝転んで、車が来るんやけど半分の人しか逃げられへんとしたら、どうした?」
「それはきつい選択ですね~。絶対に残りません。」
ここまで説明して、やっと“死の恐怖”が生まれてきた。
「君たちは、“死”を選択したんやで。」
「・・・・。」
と子どもたち。
「君たちが、サッカーへ通う時には常に、事故という危険があるねんで、2列で走ったり、ふざけたりしているけど、道路に寝転がらなくても、車にひかれるかもしれんねんで。事故なんかいつ起こるかわからへんで。“それ死んでますやん”に一瞬でなるねんで。」
「・・・・。」
と子どもたち。
あー、やっとリアルな“死”にたどりついた。
「自分たちの回りにはいつも“危険”な何かがあって、それから身を守るのは“自分”やねんで。今までは、たまたま何も無かったんとちがうかな。」
“死”を通して“命”の重みが出てきた。
倉庫に貼ってあるメッセージが何かを語りだした。「さようなら」のメッセージは特に変な意味合いが出てきたようだ。
残りの子どもを迎えに行く。
「まだまだ飛行機のエンジンの調子が悪く、次は3人しか助けられないけど、さっきの無人島へ向かいます。」
「また、半分しか助からへん。」と子どもの声。
太陽が丘の信号まで3回目のフライトで太ももが乳酸でパンパンになってきた。がんばれ機長!
無人島到着。
残りの6人が次は何かなと不安な顔。(遊んでいる子どももいたけど・・。)
さっきの話をそのまま残りの6人に伝え、元の場所へ帰れる3人を決定してほしいと説明。
僕は、信号で待ち、5分後に出発するので、帰る3人は信号まで来ることになる。
5分後。
遠いから大声で、
「おーい、時間やでー。帰る3人はここまで来てくださーい。」
「決まりませーん。」と子どもの声。
「早く来いよー、3人は助かるねんでー。」
「決められませーん。」と子どもの声。
押しボタン信号の横断歩道の青信号が点滅しはじめたので、自転車で反対に渡り、6人を置いて、ふれパーへ帰る。
ふれパーに着くと、
「誰も帰って来てへんやん。」と子どもの声。
「あいつらな~、3人助かるのに決めよらへんねん。アホやろ~。」
子どもたちは、その結果に、何か納得しているような様子。
「これで、“ワーク”は終わりや、6人は助からなかったけど、最後にみんなで迎えに行ってやってくれ。」
ワーっと子どもたちの自転車が坂を登って行く。
「おいおい、事故すんなよ、意味分かっているやろ!」
10分弱で全員帰還。
「コーチ、□□が、最後に1人で残ると決めていました。自分で言い出していたみたいです。でも、目が真っ赤でした。」
子どもなりにいろいろ“考えた”みたいです。
(おしまい)
子どもが最初に点数稼ぎで残ったことも、いろいろな決断したことも、全て認めてあげて、今後も楽しくお付き合いしていきたい。そう思える一日でした。
最後にペアで“抱き合って”生きてる幸せを実感をしました。お互い生きてて良かったネ!(アルバム掲載)
※命の大切さなんて、こんなワークだけではわからない。でも、いろいろ考える事も大切だと思います。自分の命を意識して、自分を大切にする。安全に生活することはもちろん。その中には、“食べる”“寝る”“出す”も含まれ、規則正しい生活をしないことや、体に悪い食品を口に入れることも含まれる。自分の命を意識して、自分の命を大切にして、それでやっと他人の命を大切にできると思う。このワークは2ヶ月前の出来事です。今現在、子どもたちが“命”について、この日のように意識しているかわからないけれど、何かの時に思い出したりしてほしい。また、これからもいろんな事を通して“人生”や“大切な何か”を考える時間を作っていきたい。
※今後ワークの詳しいレポートは出しません。後輩たちに“ネタ”がばれては面白くないからです。今後もできるだけ時間を作って、たくさんのワークを駆使して子どもの成長をサポートしていきます。
※このあと子どもたちと焼きそばパーティーをしました。夏に焼きそばを24人分作ったら、暑さでヘトヘトになりました。でもとても楽しい時間を過ごせました。買い物は僕とキャプテンが行き、バーベキューの囲炉裏のセッティングがブロックで子どもたちが作りあげました。
美味かったな~焼きそば!また、やろうぜ!